偏差値の仕組みと模試の違い、どの偏差値を基準にすべきか

中学受験の偏差値は「母集団によって意味が変わる」指標です。本ページでは、次のポイントを実戦で使える形で整理します。

1. 偏差値の仕組み

  • 偏差値は「集団の中での自分の位置」を数値化したもの。
  • 計算式(概念):(個人の得点 − 平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50。
  • 同じ偏差値50でも、母集団(受験者のレベル・規模)が違えば意味合いは大きく変わる。

2. 模試ごとの特徴と偏差値の違い

(1) 首都圏模試センター

  • 母集団:首都圏全域、小4〜小6まで幅広い層。
  • 受験層:中堅〜基礎層中心。偏差値50=首都圏全体の「中間層」イメージ。
  • 難関志望者は相対的に高めに出やすい。

(2) 全国小学生統一テスト(四谷大塚)

  • 全国規模、塾生+一般生が広く参加。
  • 合格可能性の判定はやや緩めに出やすい。

(3) 合不合判定テスト(四谷大塚)

  • 小6秋の志望校判定模試の代表格。受験層は中堅〜上位(難関志望多数)。
  • 実入試との相関が強く、偏差値の信頼度が高い。
  • 偏差値50 ≒ 首都圏中堅校の合格ライン。

(4) サピックスオープン(SO)

  • 母集団:最難関志望者が中心(サピ生+難関志望の外部生)。
  • 問題難度・判定ともにシビア。偏差値50でも一般模試の60〜65相当。
  • 最難関校の合否予測力が高い。

3. 偏差値比較イメージ(目安)

偏差値首都圏模試四谷大塚(全国統一/合不合)サピックスオープン
50中堅私立校中堅校〜やや上位校難関受験層の下位層
60上位私立校難関校(早慶附属・MARCH附属)難関校合格可能圏
65トップ層御三家・渋幕・筑駒に手が届く御三家チャレンジ可能
70母集団にほぼ存在しない最難関合格圏御三家・筑駒・渋幕 合格可能性大

4. どの偏差値を信頼すべきか

  • 日常学習の進捗把握:塾内模試。
  • 実際の合格可能性:四谷大塚「合不合判定」、サピックス「オープン」。小6秋以降は特にこの2つ。
  • 中堅校志望は首都圏模試でも十分。難関志望はSOを最重要視。

5. 判断の基準(必要条件)

  1. 志望校の受験層に近い模試を基準にする(難関 → SO/合不合、中堅 → 首都圏模試や全国統一)。
  2. 単発値ではなく、複数回の推移を見る。
  3. 判定偏差値だけでなく、科目別の得点バランスを見る。
  4. 模試の結果と過去問演習の手応えを組み合わせて判断する。

🎯 志望校レベル別・模試活用ロードマップ

① 中堅校志望(偏差値40〜55)

活用模試:首都圏模試、全国小学生統一テスト

  • 偏差値50前後で合格可能性が出ていれば実力十分。
  • 国語・算数の安定度を重視。

② 上位校志望(偏差値55〜65)

活用模試:合不合判定、全国小学生統一テスト

  • 合不合で偏差値55以上を安定して取れるか。
  • 志望校判定A・Bなら合格圏。

③ 難関校志望(偏差値65〜70)

活用模試:合不合判定、サピックスオープン

  • SO偏差値55〜60=実力は合格可能圏。
  • 合不合で60前後を安定して取れるかがカギ。

④ 最難関校志望(偏差値70以上)

活用模試:サピックスオープン最重要、合不合は参考

  • SO偏差値55=一般模試65〜68相当。
  • SOで合格可能性50%以上を安定して取れるか。

🏫 志望校別・合格ライン偏差値目安(模試別)

学校例首都圏模試合不合判定サピックスOPコメント
開成ほぼ対象外70前後55〜58SOの信頼度が高い
麻布ほぼ対象外68〜7055前後記述・独自問題対策必須
駒場東邦ほぼ対象外68前後53〜55算数偏差値が重要
桜蔭ほぼ対象外70前後55〜58SO女子層が最も近い
渋幕70以上67〜6952〜55首都圏模試は高く出やすい
豊島岡女子70以上66〜6852〜55算数・理科の得点力重要
早稲田(中)65〜6763〜6550前後合不合×SOの比較重視
慶應普通部65前後63〜6550〜52面接・小論文も考慮
明大明治/青学/法政60前後55〜5845前後首都圏模試で十分測れる
広尾学園(医進/インターナショナル)60前後57〜6045前後人気上昇で年々上がり気味
世田谷学園/成城学園/日大系50前後48〜5240前後首都圏模試を基準に

※ 目安であり、年度や問題傾向で上下します。

🎯 模試の合格判定(A/B/C)と実際の合格率の目安

① 首都圏模試センター

中堅校には強い、難関校には不向き

  • A判定(80%以上):実合格率 80〜90%
  • B判定(60%前後):実合格率 60〜70%
  • C判定(40%前後):実合格率 40〜50%
  • D判定(20%以下):実合格率 10〜20%

② 全国統一小学生テスト(四谷大塚)

学力確認用。合否判定はやや甘め。

  • A判定:実合格率 70〜80%
  • B判定:実合格率 50〜60%
  • C判定:実合格率 30〜40%
  • D判定:実合格率 10〜20%

③ 合不合判定テスト(四谷大塚)

小6秋以降、実入試との相関が強い

  • A判定(80%以上):実合格率 70〜80%
  • B判定(60%前後):実合格率 50〜60%
  • C判定(40%前後):実合格率 30〜40%
  • D判定(20%以下):実合格率 10〜20%

④ サピックスオープン

判定が厳しめ。B判定でも十分戦える

  • A判定(80%以上):実合格率 60〜70%
  • B判定(60%前後):実合格率 40〜50%
  • C判定(40%前後):実合格率 20〜30%
  • D判定(20%以下):実合格率 5〜15%

✅ まとめ(信じるべき偏差値)

  • 中堅志望 → 首都圏模試を基準。
  • 上位志望 → 合不合判定を基準。
  • 最難関志望 → サピックスオープンを最重視(偏差値50超で合格圏目安)。
  • 模試×過去問×推移の3点で安全に判断。